安井金比羅宮 江戸時代に奉納された算額を復元

安井金比羅宮と算額

安井金比羅宮は、京都市東山区にある平安時代末期に創建されたと伝わる神社で、崇徳天皇を主祭神とし、「悪縁を切り、良縁を結ぶ」御利益として信仰されています。境内には「絵馬館」があり、多くの絵馬が収められています。今回復元した算額は、江戸時代後期の天保12年(1841年)に奉納された大絵馬です。算額は、江戸時代に日本で独自に発展した和算の知識を披露し、神仏に感謝を捧げるとともに更なる上達を願い神社仏閣に奉納された絵馬のことで、美しい図形を扱った問題や、高度な数学の問題が描かれており、当時の和算のレベルの高さを物語っています。

(注)絵馬館は現在工事中で、公開は中止されています。

天保12年(1841年)に奉納された算額(原本)
今回復元された算額

絵馬にある文化的価値の再現

最新技術で復元

算額の原本は、劣化により肉眼では見えにくくなっていますが、高精細の赤外線カメラで撮影することにより、残っている文字や絵を写しだして解読し、修正編集して合板に最新技術で印刷することで復元しました。これにより、目視できなかった文字や正しく読み取れなかった箇所も明確になりました。復元された算額を通して、当時の文化や風習、生活により触れられるようになり、江戸時代の人々が数学を楽しんでいた様子を感じれるのではないかと思います。

(注)赤外線カメラ:富士フイルム GFX100Ⅱ IR

赤外線カメラで撮影

絵馬館をリニューアル

絵馬館は、昭和51年(1976年)に絵馬を展示する施設として絵馬堂を用いて開設されました。絵馬堂は江戸中期の建造物で府暫定登録文化財にも指定されています。建物の老朽化が進み公開が中止されていましたが、令和9年春のリニューアルオープンに向けて現在改修工事中です。新装された絵馬館では、江戸時代から近代にかけて奉納された大小様々な絵馬をはじめ、今回復元した算額も展示される予定です。絵馬の文化的価値の再認識に繋がることが期待されています。

メディア取材を受ける鳥居肇宮司

関係先

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