教育教材として古文書を複製
京都府向日市立第二向陽小学校の中西昌史校長先生(京都乙訓ふるさと歴史研究会会長)からのご依頼で、「三好長慶書状」「織田信長禁制」「明智光秀肖像画(額装版)」の三点を複製しました。これらの複製品は、私たちが複製作製の目的としている『歴史文化の教育のため、実際に触って教材として活用いただくため』のものであり、今回ご協力できたことを大変嬉しく思います。
中西昌史校長先生(京都乙訓ふるさと歴史研究会会長)から のメッセージ
『 三好長慶書状』について
今回作製していただいた「三好長慶書状」は、三好長慶が西岡国衆などに対して軍事行動について指示しているもので、物集女、能勢、井内など国衆の名前がずらりと登場する京都乙訓地方ゆかりの貴重なものです。今後、ふるさと学習や社会科歴史の授業の教材として使用する予定です。
この書状を示したとき、子どもたちがどのような反応をするか今から楽しみです。教師が本物と子どもの出会いを作れば、自然に学びが生まれてくるということではないかと思います。単なる橋渡し役を務めているに過ぎないと思います。
『本物』が持つ教育力
明智光秀と羽柴秀吉(織田信孝)が激突した山崎の戦い。その直前に、大山崎の人々が光秀と信孝の双方から禁制を得て、結果として町を守り切ったというのは大変興味深い話です。
大山崎町の小学6年生を対象に山崎の戦いについての授業を行った際、禁制(「織田信長禁制」) とはこういうものだと示し、子どもたちに手に取って確かめるよう促しました。子どもたちは恐る恐る触れて、和紙の質感や筆遣いを感じ取りながら、読める文字を拾い、何が書かれているか考え始めます。禁制をもらってもそれは全軍に伝達されるのかな?違反者はどうなるのかな?など次々と疑問が出始めます。天下布武の朱印も確認して、学習は大いに盛り上がりました。
実物に限りなく近い「本物」に触れるによって、子どもたちの探究心スイッチが入り、自ずと深い学びに導かれていく様子を目の当たりにして、「本物」が持っている教育力に改めて気付かされました。指導者があれこれと説明しなくても、1枚の書状が子どもたちにたくさんのことを語りかけてくれるのです。教材として非常に素晴らしいものであり、活用の可能性は無限に広がると言っても過言ではないと考えています。